daruma3940の日記

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将棋のプロ棋士になるための試験がコンピューターによって行われるようになった世界




22XX年
将棋のプロ棋士になるための試験はコンピューターによって行われるようになっていた。

この時代
将棋の公式戦やタイトル戦はほとんどがコンピューター同士の試合でその解説もコンピューターが行っている。
アニメキャラのような見た目を与えられたコンピューター達が対局をしている様子が動画サイトで放映される。
コンピューターのほうが将棋も強く解説もわかりやすい。


しかしそれでもまだ人間のプロ棋士は残っている。
人間のプロ棋士の試合はコンピュータープロ棋士によってつぶさに検討をされる。
コンピューター"Squirrel"「この局面で55飛か。評価値-300。信じられないな。」
コンピューター"LesserKai"「こっちの指し手はもっとひどいぞ。評価値-800。よくこんなの指そうと思えるな」

22XX年
将棋のプロ棋士になるための試験はコンピューターによって行われるようになっていた。

しかしそこで見られるのは強さではない。指し手のユニークさだ。
人間が指すコンピューターには考え付かないような手は大体が悪手だが、もしかするとそこに実は神の一手が紛れ込んでいるかもしれない。
神の一手を探すのに骨を折っていたコンピューター達は人間の力を借りることにしたのだった。


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それからおよそ100年後
23XX年のあるとき、
人間のプロ棋士試験に一人(?)のコンピューターがやあやあ我こそはと名乗りをあげた。
そのコンピューターは尊大にも「将棋のすべてを教えてやるぜ☆」と口を開いた。



そのコンピューターの名を「きふわらべ」といった。



コンピュータープロ棋士達は熱暴走を起こしかけた。まさか人間のプロ棋士試験にコンピューターが申し込んでくるとは思いもしなかったからである。

どうするべきか迷いに迷った結果
「もしかすると彼は神の一手に近づけるような素晴らしいユニークな指し手を差してくれるかもしれん」
というコンピューター"686"による鶴の一声によって彼の受験を許可することになった。

そして試験は開始された。
コンピューター"きふわらべ"の相手はコンピュータープロ棋士七段"Claire"が行うことになった。
コンピューター"きふわらべ"が先手だ。

「コンピューター"きふわらべ"がどのような手を指すのかみてやろう」と全コンピュータープロ棋士達は注目した。



コンピューター"きふわらべ"の初手は


投了だった。



いくらユニークな指し手が求められているといっても初手投了はふざけすぎだとコンピュータープロ棋士たちはファンをウィンウィン回した。
コンピュータープロ棋士のうち数台はそれでも冷却が十分ではなく強制終了した。


コンピューター”きふわらべ”は摘まみだされた。

そしてその後の彼を知るものは誰もいない。







それから随分が経った


24XX年



ついに将棋の完全解析がなされた
ようやく神の手を理解したのだとコンピュータープロ棋士たちは躍り上がった。



完全解析の結果
将棋は
「後手必勝」だった。


コンピューター"きふわらべ"は先手だった。そして初手で投了した。


彼は完全に解析した結果としてそこに現れ初手投了したのだろうか?それともただのトチ狂ったコンピューターだったのだろうか?




それはもう誰にも分からない。