daruma3940の日記

理解や文章に間違い等あればどんなことでもご指摘お願いします

「物理学をしている人間は量子と古典という2つの計算クラスしか考えようとしない
仮想的に考えられる物理法則の下で得られる仮想的な計算クラスでは
どのような計算が可能か考えるというのは実用的ではないが面白い研究である」

こう述べた大学教授がいたのはいつの時代だったか。



今の時代このような研究はとても実用的なものになっていた。

25XX年
我々の宇宙とは異なる物理法則を持つ、つまり我々の宇宙とは異なる計算クラスを持つ
宇宙へのコネクションを作ることが出来るようになっていた。

問いを適切な計算クラスを持つ宇宙に投げてその結果を受け取る。
これで多くの計算が現実的な時間で解かれるようになった。




研究者はある日 投げかけたすべての問いに対して偽を返すような計算クラスを持つ宇宙を見つけた。
この宇宙は「天探女」と名付けられていた。
有効に活用できそうな計算クラスを探す使命を与えられた一部の研究者に少しの間面白がられたものの、すぐ飽きられ忘れられていった。



あるとき一人の学者がたまたま過去に天探女に投げられた問題の一覧を眺める機会があった。
そこで彼は気が付いた。
天探女にはなぜか「すぐに偽だと分かるような問題ばかりが投げられていた」のだ。
偽である問題ばかりが投げかけられているんだからそりゃぁ偽しか返さないだろう。
しかし彼は違和感を感じた。
どんな命題にも偽を返してくるのであれば、真となるような命題を与えてそれを解かせてみるはずだ。
なぜ皆が皆、偽だと当然分かるような質問しかしていないのだろう?


「天探女宇宙はただ偽を返しているわけではないかもしれない。
真となるような問いが与えられた瞬間その問いが偽になるようにこの宇宙を改変しているのではないか」
という仮説がその学者に湧き上がってきた

その学者は自問自答を繰り返した。
「そのような改変が起これば皆、気が付くはずでは」
「元からそうであったかのように改変をしてしまえば誰も気が付かない」


異なる宇宙で物理法則が違うというのは起こりうるし起こっている。
そのおかげで我々は答えまでの道のりを短くすることが可能になった。
しかし論理法則まで違うなんて考えられない。
それも答え自身が変わってしまうように改変が可能だなんて尚更だ。









現に「1+1」は「3」以外考えられないし、「PならばPである」というトートロジーは偽としか考えられないではないか。





ここでもし「一つ前の問題の答えは偽であった」という質問をしたらどうなるのだろうか彼は気になった
「一つ前の問題の答えは偽であった」 というのに対しても偽を返してきたならば
偽の偽は真であるので 「一つ前の問題の答えは真であった」ということになる(なるよね?)
この場合以前の答えと矛盾が生じることになるが、もし改変が行われるのならどう改変されるのだろうか?

しかしこれは大変危険な質問かもしれない。
もしかしたらこの宇宙は非常にねじれた宇宙になってしまう可能性がある。存在がなくなってしまう可能性すらある。
しかし試してみたい気持ちを抑えきれない。
彼は震える手でこの2重否定を「天探女」につながったコンソールに打ち込みエンターキーを押した。

そのわずか0.1秒後ターミナルに文字が浮かび上がる。

ターミナルには偽が表示されていた。

そりゃそうだ。「一つ前の問題の答えは偽であった」 という質問の答えが偽なら「一つ前の問題の答えは偽だ」。
否定の否定は否定だ。そんなの当り前だ。矛盾なんて起こらない。
どうしてそんな質問をしてしまったのだろう。

彼はもう一度答えが真になるような問題や矛盾が発生するような問題を探し打ち込もうとしたものの
もはや天探女にかかわらないようにした方がよいのではと考え、「天探女」を「正直者」と改名しそして誰もアクセスが出来ないようにした。

そして「正直者」は再び忘却の海に沈んでいった。

しかし誰がどうしてこの宇宙を「天探女」などと名付けたのだろう?


(終)

P.S.
没ネタ
量子コンピューターも論理学もよくわかってないので適当です
良く分かってないので細部まで詰めることが出来なかった。面白くしようがなかったので没。
というか細かいところを見るとおかしいところしかないな。没。
というか論理法則が異なる宇宙ではどのような文章、ソースコードが書かれるのでしょうね。
オチもうまいオチが思いつかなかった


冒頭は去年の夏頃集中講義に来た先生の言葉。
今思うとちゃんと聞いておけばよかったかもしれない。